「育児休業制度の改正」徹底解説!受験生が押さえるべきポイントと過去問分析
こんにちは、社労士試験対策ブログの管理人です。今回は、2024年10月から施行される「育児休業制度の改正」について詳しく解説します。この改正は、2025年度の社労士試験において出題される可能性が高い内容です。受験生の皆さんは、しっかりと理解しておきましょう。
1. 最新ニュース:育児休業制度の改正ポイント
厚生労働省は、2024年10月から「出生時育児休業(産後パパ育休)」の制度を拡充し、より柔軟な取得が可能になることを発表しました。この改正は、男性の育児参加を促進し、女性の継続就業を支援する「男女共同参画社会」の実現に向けた重要な一歩と位置づけられています。
改正のポイント
- 出生時育児休業(産後パパ育休)の取得可能期間の拡大:子の出生後8週間以内→子の出生後12週間以内に拡大
- 申出期限の緩和:原則2週間前まで→1週間前までに短縮
- 分割取得回数の増加:2回まで→3回までに増加
この改正により、子どもが生まれた父親は、より柔軟なタイミングで育児休業を取得できるようになります。特に、出生後8週間から12週間までの期間が新たに追加されたことで、母親の産後の回復状況や職場復帰のタイミングに合わせた育児参加が可能になります。
2. 社労士試験の視点から見る育児休業制度
育児休業制度は、社労士試験の「労働一般常識」および「労働基準法」の分野で頻出のテーマです。特に、育児・介護休業法の改正内容は、例年の試験でも出題されています。今回の改正を理解するためには、まず現行の育児休業制度の基本を押さえておく必要があります。
現行の育児休業制度の概要
項目 | 通常の育児休業 | 出生時育児休業 (産後パパ育休) |
---|---|---|
対象者 | 原則として、1歳未満の子を養育する男女労働者 | 生後8週間以内の子を養育する男性労働者 |
取得可能期間 | 子が1歳に達するまで (最長2歳まで延長可能) |
子の出生後8週間以内に4週間まで |
申出期限 | 原則1か月前まで | 原則2週間前まで |
分割取得 | 原則2回まで | 2回まで |
特徴 | 労使協定がある場合、一定の条件で取得制限あり | 休業中の就業が可能 (労使協定あり・本人同意の場合) |
受験生が押さえるべきポイント
2024年10月改正後の変更点は以下の通りです:
- 出生時育児休業の期間:子の出生後12週間以内(改正前は8週間以内)
- 申出期限:原則1週間前まで(改正前は2週間前まで)
- 分割取得:3回まで(改正前は2回まで)
この改正は、「男性の育児参画の促進」と「女性の継続就業支援」という観点から重要です。
育児休業給付金について
育児休業制度を理解する上で欠かせないのが「育児休業給付金」です。これは、雇用保険の被保険者が育児休業を取得した場合に支給される給付金です。
- 育児休業開始から6か月間:休業開始時賃金の67%
- 育児休業6か月経過後:休業開始時賃金の50%
出生時育児休業(産後パパ育休)についても、同様の給付率が適用されます。受給要件として、休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あることなどが定められています。
3. 過去の社労士試験から見る育児休業関連問題
では、実際に過去の社労士試験で出題された育児休業関連の問題を見てみましょう。以下は、令和3年(2021年)の社労士試験で出題された問題です。
【令和3年 社労士試験 労働一般常識 問5】
次の文章は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「法」という。)に定める育児休業に関する記述である。( )にあてはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。
法に定める育児休業の申出は、( ① )以降に、( ② )まで連続して育児休業をすることができる期間を明らかにして、事業主に申し出ることにより行わなければならない。
- ① 出産予定日の6週間前 ② 子の1歳の誕生日
- ① 出産予定日の6週間前 ② 子の1歳6か月の誕生日
- ① 子の出生の日 ② 子の1歳の誕生日
- ① 子の出生の日 ② 子の1歳6か月の誕生日
- ① 出産後8週間を経過する日 ② 子の1歳の誕生日
【解答と解説】
正解:③ ① 子の出生の日 ② 子の1歳の誕生日
解説:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)第5条第1項では、育児休業の申出は、「その養育する1歳に満たない子について、その子の1歳に達する日まで連続して育児休業をすることができる期間を明らかにして、事業主に申し出ることにより行わなければならない」と規定されています。
したがって、①には「子の出生の日」、②には「子の1歳の誕生日」が入ります。なお、特別な事情がある場合には、子が1歳6か月(さらに延長して2歳)に達するまで育児休業期間を延長することが可能です。
ここで押さえておきたいポイントは、育児休業の申出は子の出生日から可能であり、原則として1歳の誕生日までということです。今回の改正である「出生時育児休業」は、この一般的な育児休業とは別に設けられた、男性の育児参加を促進するための制度です。
4. 今後の社労士試験対策のポイント
2025年度の社労士試験では、今回の育児休業制度の改正内容が問われる可能性が高いです。特に押さえておくべきポイントを整理します。
- 出生時育児休業(産後パパ育休)の拡充内容
- 取得可能期間:子の出生後12週間以内に拡大
- 申出期限:原則1週間前までに短縮
- 分割取得:3回までに増加
- 通常の育児休業と出生時育児休業の違い
- 対象者の違い
- 取得可能期間の違い
- 申出期限の違い
- 分割取得の回数の違い
- 育児休業給付金の支給要件と給付率
これらのポイントは、「労働一般常識」だけでなく、「雇用保険法」の分野にも関連します。特に、育児休業給付金については、雇用保険法の重要項目として出題されやすいので注意しましょう。
まとめ:受験生が今すべきこと
今回の「出生時育児休業制度の改正」は、単なる一制度の変更にとどまらず、「少子化対策」「男女共同参画」「ワークライフバランス」といった、労働法制の根幹に関わる重要なテーマです。
受験生としては、今回の改正内容をしっかりと把握するとともに、育児休業制度全体の仕組みを体系的に理解することが重要です。また、関連する過去問を繰り返し解くことで、出題パターンを掴んでおきましょう。
次回のブログでは、「高年齢者雇用安定法の改正ポイント」について解説する予定です。引き続き、社労士試験に向けて一緒に頑張りましょう!
参考資料:
厚生労働省「育児・介護休業法の改正について」
令和3年社会保険労務士試験問題
育児・介護休業法(平成3年法律第76号)