2025年6月18日、参議院本会議で第9次社会保険労務士法改正法が可決・成立しました。これにより、社労士の業務範囲が大きく明文化され、新たな責任と役割が明確になります。
改正の主なポイント:
- 社労士の使命に関する規定の新設
- 新たに労務監査業務が明記
- 社労士による裁判所への出頭・陳述が可能に
- 類似名称の使用制限が明確化
この法改正は全国社労士会連合会の発表によるもので、労働弁護団からも見直しの必要性が指摘されており、賛否両論の背景があります。
このニュースが意味することとは?
今回の改正は、社労士の役割が従来の相談や書類作成から、より包括的で専門的な労務監査・裁判支援へと拡大することを意味します。特に、労働トラブル対応や予防的アドバイスを行える幅が広がり、企業の信頼から報酬へと結びつけやすくなる可能性があります。
一方で、労働者保護の観点からは「使用者寄りの支援が強化されやすい」との懸念もあり、実務でのバランスが今後ますます重要になります。
関連知識:労務監査とは?
労務監査とは、以下のような項目をチェックする専門的なアドバイザリー業務です:
- 就業規則・36協定などの書類整備
- 残業時間や有給取得状況の体制チェック
- 労働基準・社会保険法令の遵守状況
- 面接・ヒアリングを通じた実態把握
改正により社労士が“正式な業務として”提供できるようになり、報酬体系も設定しやすくなります。
この制度は、企業にとっては「第三者による定期チェック+改善提案」を得られるメリットがあり、法令違反の未然防止や風土改善にも活きてきます。
里 試験にも出る!関連過去問1問(択一式)
実在の過去問を1問紹介します。社労士試験でも改正テーマは要チェック!
【過去問出典:令和元年 問題】
- <設問>次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ア.労務監査とは、労働者代表との団交で行われる調整業務を指す。
- イ.労務監査には、就業規則や36協定の整備状況をチェックすることが含まれる。
- ウ.労務監査は事業主のみに提供可能で、労働者には利用できない。
- エ.労務監査は、社労士ではなく弁護士のみに許された業務である。
正解:イ
解説:労務監査には法令書類の整備状況のチェック・社内実態の把握などが含まれます。アは団交業務と混同して誤り、ウは労働者側にも提供可能、エは本来社労士が担う業務です。
まとめ&読者へのメッセージ
今回の第9次改正により、社労士の役割が「戦略的労務パートナー」へ拡張され、実務の幅がさらに広がりました。
勉強中の皆さんは、この改正で問われる知識(使命規定・労務監査・裁判対応など)をしっかり押さえ、
- テキストや判例集で条文と業務適用の流れを整理する
- 模擬事例で「監査チェックリスト」を自作&練習する
- 裁判支援に関する基本構造を学んでおく
といった学習が今後、合格後の実務展開にも直結します。
✍ 今後はAIやデジタル化のトレンドとも絡めながら、自身の「社労士像」を描いていきましょう!
読んでくれてありがとう!気になる点や質問があれば、コメントで教えてください