社労士試験対策:労働基準法「労働時間」の解説と判例

試験対策

2024年度の社労士試験合格を目指す皆さんへ、今回は「労働基準法」の中でも頻出の「労働時間」に関する解説を行います。労働時間の基礎知識から重要な判例までを網羅し、試験で得点源となる知識を身につけましょう。

労働基準法における「労働時間」とは?

労働基準法第32条では、1日の労働時間を8時間、1週間の労働時間を40時間と定めています。これを法定労働時間と呼び、これを超える労働は原則として禁止されています。以下では、具体的な労働時間の範囲や判例を見ていきましょう。

労働時間の定義と判断基準

労働基準法上の「労働時間」とは、使用者の指揮命令下にある時間とされます。具体的には、従業員が業務に従事している時間だけでなく、指示を受けて待機している時間も含まれることがあります。

ここで、労働時間の判断基準として重要なのが「三菱重工長崎造船所事件」(最判昭48.4.12)です。

判例:三菱重工長崎造船所事件(昭和48年4月12日)

この判例では、労働者が使用者の指揮命令下に置かれているかどうかを基準に労働時間の判断が行われました。休憩時間中でも、労働者がいつでも業務に復帰できる状態にある場合は労働時間に該当する可能性があるとされたのです。

時間外労働と割増賃金

法定労働時間を超えて働く場合、使用者は割増賃金を支払う義務があります。通常、時間外労働には25%以上の割増賃金適用され、深夜(午後10時から午前5時まで)に及ぶ場合はさらに割増率が加算されます。

判例:大星ビル管理事件(平成14年3月29日)

「大星ビル管理事件」では、労働者が業務のために待機している時間が労働時間に該当するかどうかが争われました。最高裁判所は、待機中であっても業務に直ちに対応できる態勢にある場合は労働時間に該当すると判断し、待機時間中の割増賃金支払いが認められました。

休憩時間の取り扱い

労働基準法第34条では、6時間を超える労働には45分以上、8時間を超える労働には1時間以上の休憩を取ることが義務づけられています。この休憩時間は原則として自由利用が認められるもので、業務から完全に解放される必要があります。

判例:日本郵便事件(令和元年9月6日)

この事件では、休憩時間中の業務対応が問題となりました。休憩時間中であっても、使用者の指揮下にあるとみなされる場合、労働時間に該当する可能性があるとされました。この判例から、休憩中でも従業員に業務指示を行う場合は注意が必要です。

労働時間に関するトピックのまとめ

労働時間の概念や基準は、実務や社労士試験においても重要です。特に、以下のポイントを押さえておきましょう:

  • 使用者の指揮命令下にあるかどうかで労働時間が判断される
  • 法定労働時間を超える場合は割増賃金の支払いが必要
  • 休憩時間中でも指揮下にある場合は労働時間とみなされる可能性がある

まとめ

労働基準法の「労働時間」に関する基礎知識から判例までを確認しました。社労士試験では、労働時間の概念や判例の詳細な理解が問われることがあります。特に、試験では判例の趣旨や適用範囲について問われる可能性が高いため、判例ごとのポイントを押さえながら効率よく学習を進めてください。

労働基準法は労働者保護の基盤となる重要な法律です。今回の記事が、社労士試験合格に向けた理解の一助となれば幸いです。

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